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縄炎 ~美濃村晃の世界~ シネマジック [DVD]

　戦後日本にSM業界を創造し、陰に陽に牽引した天才美濃村晃（＝喜多玲子＝須磨利之）の半生を振り返る映像ドキュメントです。　縛った裸のモデルの女性をまんなかに、美濃村晃と濡木痴夢男が対座してこんにゃく問答風に昔の思い出話をするところが面白い。美濃村はすでに病に倒れて片手は効かず口ももつれぎみで痛々しいが、濡木は意気盛んで甲高い声で、なかばはしゃぎながら、女性の乳首を箸でつまんだり、秘所を筆先で擽ったりしながらの、女性のあえぎ声付きの高踏かつ真面目な対談です。いかにもこの二人らしいとぼけた趣向だと思いました。淫靡さを通り越して滑稽味が漂います。　官憲に弾圧され、世間から白い目で蔑視され、それでも自分の信念を曲げず（と言うか、やりたい放題のことをやって）美濃村も濡木もすでに鬼籍に入られました。ビデオを見て粛然とします。　この映像を見ると、美濃村晃や濡木夢痴男のめざしたサディズムは、女性をいじめることではなくて、逆に女性を憧憬し、羞恥を通して快楽を与えることであることがよくわかります。つまりSMのＳはサービスのＳということらしい。　ほかに団鬼六、椋陽児、有末剛、櫻木徹郎、吉村彰一も出演し花を添え、風俗史の観点からもとても貴重な資料となっています。声だけの出演ですが、およそメディアに露出しない椋陽児が珍しくビデオに出演しています。恩師の美濃村に恩返しをしたかったのでしょうか。美濃村の絵と自分の絵を比較して次のように謙遜しています。「僕なんか、ほら、不器用だから、ごてごてごてごて、　塗り重ねるだけでね。とてもあのような素晴らしい絵は描けません」縄炎 ~美濃村晃の世界~ シネマジック [DVD] 関連情報