五味川純平 ランキング!

五味川純平 戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河 [DVD]

 第一部に続いて第二部も一気に見せてくれます。伍代俊介と標耕平が成長してきたので,前作でのロマンスに彼らの分も加えられメロドラマ色が強くなっています。さらにサスペンス絡みの場面もあり,興味深く見ることができます。いくつか気になる点を書くと,まず,第一部の終わりで高橋英樹の前で爆弾が破裂し彼の姿が見えなくなった(これは第二部のオープニングでも出る)ので,どうなったのかと思っていたら,怪我もなく変わらぬ様子で登場した点。これでは,前見た映像(演出)は何だったのかと思ってしまいます。意味がないですね。それと佐久間良子の演技(台詞)が,ある場面では過剰気味に見えました。女性(人妻)の心の揺れを表現するためなのか分かりませんが,思わず笑ってしまいました。あえて,そういう演技(台詞回し)をさせたのかもしれませんね。こういう気になる点も,自分には楽しみの一つとなっています。第三部へはどうつながり,どう完結するのか興味が尽きませんでしたが,第三部は第一・二部とは別物のようになっていました。三部作全てをご覧になった方には分かると思います。 戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河 [DVD] 関連情報

五味川純平 人間の條件〈上〉 (岩波現代文庫)

戦争は暴力や殺人を合法化する。その中で、人間が人間であることを全うしようとすれば何が起こるのか、人間であるためにはどう生きなければならないか、人間として生きることは可能なのであろうか、人間として生きられなかった時はどうなるのであろうか・・・。作者は、中国東北部における戦争末期を舞台に人間の条件をひたすら追求する。 私は、本年、中国東北部を訪問するにあたって本書を再読した。いくつかの点で、1960年代、最初に読んだときとまた違った印象を受けた。最初は6巻で配本されたが、今回は2巻ごとまとめて上中下3巻となった。各巻ごと、もっとも強く感じた点を一言ずつ記すこととする。 まず上巻:このような時代、人間が全うに生きる力をどこに求め得るのか。作者は、その最たるものとして愛する人を挙げる。しかし、主人公が良心に忠実に生きるためにそれは必要であったけれど十分ではなかった。何がさらに必要とされたのであろうか。それは、鉱山における中国人特殊工人たちとの関係を中心に展開される本巻において、中国人のリーダーを通じ示唆されている。しかし、作者はそれ以上には明言しない。中国人は、それ以後の歴史においてそれを実践するが、日本人は成功裏に経験すること少なく現在に至っている。作者が明示的に書けなかった所以であろう。 人間の條件〈上〉 (岩波現代文庫) 関連情報

五味川純平 戦争と人間 第一部 運命の序曲 [DVD]

私は山本薩夫監督をこの映画で初めて知った。三部作中の発端編であるが、私はこの第1作が一番面白いと思う。というの伍代家の当主やその弟の出番が多く、専ら大人たちが中心だからだ。これが第二部になると、息子や娘が恋愛したり、召集されたりと、やや比重が若い世代に傾き、散漫な感じが否めないからだ。新興財閥がいかに時流に乗って事業を拡大するかに、話が集中しているので、このシリーズの本質がよく出ていると思う。しかし、この三部作はかなりの力作。太平洋戦争まで行かなかったのは残念だが、最後のノモンハン事件は戦争末期を思い起こさせるほどのものを描いている。演技者の中ではやはり滝沢修が凄い。一見紳士で温厚そうだが、その実は厳しい考え方の持ち主。優勝劣敗の考え方の持ち主だと思う。それは俊介や順子との親子の会話でも窺える。それだから成功したのであり、本人もそういう自負を持っている。そんなことを想像せてくれる演技は流石だと思う。 戦争と人間 第一部 運命の序曲 [DVD] 関連情報

五味川純平 戦争と人間 (1) (光文社文庫)

文庫版も、絶版で手に入りにくくなってしまったが、各地の図書館においてある、『五味川純平著作集』全20巻に収録されている。本編だけでなく、注釈も読み応えあり。 本編担当の五味川氏、注釈担当の澤地女史、にここまで書かせたものはなにか。いまこそ多くの人に読んで欲しい。 戦争と人間 (1) (光文社文庫) 関連情報

五味川純平 人間の條件 DVD-BOX

学生時代、狭い池袋の人生座の深夜上演でむさぼるように鑑賞してから半世紀がたちました。梶の汚濁を許さない正義感と人間愛、それにしっかりと寄り添う美千子の健気さは、少しも色あせることなく心に迫ります。しかし原作を活字の形で読んだときと、このような映像として見た時とでは、梶の妥協を全く認めない姿がどうしても絵空事に見えてしまいます。それは鑑賞者の私が、あれ以後50年の人生で、いわゆる酸いも甘いも知ってしまったためなのか、それともあの時代に持っていた愛や義の心を、分厚い歳月の扉で覆ってしまったのかを考えさせられました。読者の想像力を合わせて喚起しながら進む活字によるストリーの展開と、創造力の介入を許さない映像による物語の展開との、避けうることのできない乖離が気になったのです。あの時代の重苦しい雰囲気や、どうしようもなく滅びへ向かう閉塞感の中で、それでもこんなに真摯に生きた人々がいたことを、そして同時にこんなに都合よく生きた大多数の俗物が存在していたことをもっと若い人たちに知ってもらうために、いつまでも引き継いでゆきたい作品だと思います。これはその意味で日本映画の金字塔の一つです。梶と同じように、死んではならない、生きていてほしかった人々が、戦場となった異国の地の溝の中で死んでゆきました。惜しいことです。このような作品を鑑賞して、涙を禁じえない人々の気持ちが、せめて亡くなった人々の供養になってくれればと思いました。 人間の條件 DVD-BOX 関連情報




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