丹羽文雄 ランキング!

丹羽文雄 海戦(伏字復元版) (中公文庫)

 報道班員として重巡洋艦「鳥海」に乗り組み、第一次ソロモン海戦に従軍したときの私小説。事実を語りながら内面と対峙する丹羽の文体なので冷静に読ませる。ほんの数メートルというところで命拾い。そのためでもないだろうが、事実長生きした。 海戦(伏字復元版) (中公文庫) 関連情報

丹羽文雄 新東宝映画傑作選 恋文 [DVD]

昭和28年(1953年)新東宝作品。原作・丹羽文雄、監督・田中絹代。笠智衆、井川邦子、夏川静江などもカメオ出演をしている。監督・田中絹代も自ら代筆屋の客役で登場。ある事情で、慕いあう仲だった女性(久我美子)が他の家へと嫁ぎ、失望と、女性への消えぬ思慕の念を抱いて従軍、復員したインテリ男(森雅之)。久我の夫は戦死する。二人は戦争を挟み、連絡が途絶える。インテリ男・森は英語・仏語が堪能なので、古本の背どり(転売)を器用にこなして生きている弟のアパートに居候をし、弟から翻訳の小口仕事のおこぼれにあずかりながら、別れた久我との再会を念じつつも、日々生気なく暮らしていた。森は、渋谷駅頭で偶然再会した兵学校時代の旧友(宇野重吉)に誘われ、宇野が渋谷・恋文横丁で開業する、米兵のオンリー(情婦)となった日本人の女たちのための、帰国してしまった米兵の愛をつなぎ、送金を促すための英文恋文の有料代筆業の職を得た。定職を得て貯金を始め、久我との再開後の生活を前向きに設計し始め、明るさも幾分取り戻した森は、彼が働く代筆屋に、生活の飢え、愛への飢えから戦後米軍人との間に関係を持った久我が客としてやって来たことを知る。森は店を出て行った久我に渋谷駅ホームで追いついた。明治神宮でつのる想いを抱いて再会した二人だったが、森は久我の堕落を激しく責める。「現在を生きて行くしか方途はないんだ」と、兄を励まし続けた弟(道三重道)は、久我との再会後自暴自棄となる森のため、もう一度久我と引き合わせる算段を講ずる。久我はレストランのフロント係の堅い仕事を得て、森になじられた心の傷を持ちつつも、会うことを嬉しく思った。愛する女性のやむを得なかった遍歴とはいえ、嫌悪が消えない森は、自己愛から目を覚ませと宇野重吉に叱咤され、再会をやり直す待ち合わせ場所・日比谷公園に向かうのだが、そこを根城にパンパン稼業を継続する昔の顔見知りたちに久我は呼びとめられてしまう・・・。森のニヒル節はこの作品でも全開だ。弟に、恋文代筆業とはどんな仕事か尋ねられ、「知能の低い相手さ。自分の一番恥ずかしい、痛いところを他人に喋る人たちだからな・・・」と吐き捨てたり、久我への恨み、自分勝手に抱いてきた久我への愛の姿に突き付けられた現実に「いつまでも苦しむのは俺だよ」とほざいてみたり、よれよれの背広と擦れた革靴でそんな言葉がうつろな視線で発せられるときの、不思議な男の色気が一瞬に発散される芸風は、彼ならではの切れ味だ。久我美子も、どうかこの劇中の二人は引き裂かれないで欲しいと、思わず願いながら見てしまう、そんな心美しきヒロイン演技が最高。久我に会いに急行するタクシーに森と同乗する宇野が言うセリフ、「汝らの中で罪なき者まず石を投げよ。日本人は一人残らずあのくだらない戦争の責任がある。そして一人残らずあの敗戦の怒涛のなかでもみくちゃになった。一体、誰が誰に向かって石を投げろというんだ。」というものがある。これは美しすぎます。渋谷新宿、銀座の昭和28年当時街頭に森を放つロケが見られて貴重。特に渋谷駅ハチ公口近くの風景。昔の三千里薬局店舗、トレーラー・バスなんてものも見える。恋文代筆屋がある三角地帯一体の店舗周辺シーンは、空が映らないのでセットでしょうが実際の当時街頭も結構見られます。代筆手数料は、相手から来た英文手紙の「読み」が一通50円、相手への英文手紙の「書き」が、一通150円。映画で映る渋谷駅近くの飲食店の看板に、とんかつ「並」100円、「上」200円とある。この手頃な値段の代筆は女性たちに重宝がられたのではないだろうか。森の弟は古書背どりの経験を活かして、渋谷で洋書古書販売の屋台を開くが、ここに集まる古書(アメリカのファッション誌等々)は、恋文代筆の客だった女性たちがアメリカの彼氏にねだって手に入れ、すぐさま古書店に売りさばいて換金したものをまた肥えた目利きで買い叩いて揃えたもの。上品なみなりの婦人客がそれを目当てに買いに来る。最新号が立川から10日で手に入る、などと言っている。戦争で色々な物を失い、身に備わった知性だけが残って商売道具となったインテリ層の仕事図鑑を見るようだ。厳しい生活を自分の身一つで、まず食うために乗り切ろうとした女たちが恋文屋で集まった戦後10年前後の渋谷、デスマスクのような整形美容手術用の顔石膏型を幾つもウインドウに展示する医院が道玄坂にあった戦後20年前後の渋谷・・・・、最新のファッションや流行を漁りに戦後も知らない若者が集まる街となった渋谷。この街はこれからも表情を変えて行くのだろう。 新東宝映画傑作選 恋文 [DVD] 関連情報

丹羽文雄 父・丹羽文雄 介護の日々 (中公文庫)

 結果的に父の死ぬ前に、この介護な娘さんは亡くなった。86歳くらいで、すべての公職からの引退工作を始めているので、15年ほど介護し続け、中途で亡くなったわけだ。介護された丹羽文雄が幸せだっただろうなと感じさせる半面、父の後にボケた母親の見せる嫉妬の炎が痛ましい。父は仏になり、母は夜叉になった。原因は若い頃の父の女出入りだが、良妻賢母なんて言葉が単なる見せ掛けだということが良くわかる。賢婦人はボケてはいけない。ボケる前に死んで、その胸の裡を語らないのが華なのだ。もしも賢夫人役を自らまっとうしたいのならば…… 娘さんは、ああ、あの小説のモデルか、といった雰囲気及び生活環境の人でした。 父・丹羽文雄 介護の日々 (中公文庫) 関連情報

丹羽文雄 ゴールデン☆ベスト 竹山逸郎 異国の丘~誰か夢なき

約十年前に竹山逸郎の16曲入りベスト盤が発売されましたが、今回は21曲入りです。竹山逸郎の異国シリーズや隠れた名曲が収録されています。竹山逸郎の魅力を再認識できるヘスト盤だと思います。 ゴールデン☆ベスト 竹山逸郎 異国の丘~誰か夢なき 関連情報




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